これからの介護に必要な「ノーリフティングケア」

日本ではなぜノーリフティングケアが浸透しないのか?

「ノーリフティングケア」とは

腰痛に悩む介護者に向けて「抱えない介護」であるノーリフティングケアについて紹介するサイトです。


なかなか浸透しない日本のノーリフティングケア

抱えない介護は介護者と利用者にとってメリットがあることは明らかです。それにも関わらず、日本の介護現場はノーリフティングケアの導入に消極的です。海外では早くから当たり前に導入されてきたノーリフティングケアが、なぜ日本で浸透していかないのでしょうか。そこには日本独特の理由がいくつかあります。

日本の介護は遅れている

世界的に見れば日本は先進国で、福祉に関する制度もそれなりに充実しています。介護保険法の施行から20年と歴史は浅いものの、介護ケアの手法については海外から高い評価を得ているものも多くあります。しかし、日本の介護職員の待遇は世界的に見ても決して良いとはいえず、十分な社会的地位を確保されている介護先進国から見るとかなりの遅れをとっています。

人の手で行う介護に対する過度なこだわりがある

「介護の基本は人との触れ合いや関わり合い」という方針が、ノーリフティングケアの普及を抑制する要因のひとつとなっています。また、機械に頼る介助業務にあたたかみを感じないという考え方と、機械を完全には信用できないという考え方もあります。「人の手で移乗業務を行ったほうが心がこもっていて安全」との誤解から、ノーリフティングケアに対する積極的な見方ができないのが日本の介護現場の特徴です。
現在使用されている福祉用具は安全性が高く、外傷を作りにくくするようよく工夫されています。正しく使用すれば人の手による介助よりも安全で、楽に移乗業務をこなすことができます。高齢者は皮膚も骨も弱っており、少しのことで内出血や外傷、骨折、脱臼を起こしてしまいます。人の手による移乗は少しのミスが転落や滑落につながりますし、皮膚の弱い高齢者を無理に引きずることで擦り傷ができてしまうこともあります。これらのことを考えると福祉用具を使用したほうがいいことは明らかですが、人の手による介護のあたたかみにこだわりすぎてノーリフティングケアが浸透しにくい状態が続いているのです。

機械を使うための時間がない

人手不足の介護現場では、移乗用の電動リフトを使う時間すら確保できないことが珍しくありません。電動リフトを準備しセッティングを行うまでに数分かかるとすれば、10人で数十分の時間を移乗のために別途確保しなければならない計算です。人の手のみで移乗業務を行う場合、介護者に負担こそかかりますが1分とかからず移乗が完了します。ギリギリのスケジュールで1日の業務をこなさなければならない介護現場にとって、ノーリフティングケアは非現実的な方法となってしまうのです。スピードよりも安全が優先されるべきなのは当然ですが、スピードを重視しないと次の利用者の安全が確保できないという難しい現状があることも事実です。

About me これからの介護

介護者の腰痛を軽減する抱えない介護の考え方「ノーリフティングケア」の現状を紹介しています。
当サイトへのお問い合わせはkaigo.nolifting.care@gmail.comまでお願いいたします。

おすすめカテゴリ

積極的に取り組んでいる施設に転職しよう 積極的に取り組んでいる施設に転職しよう

新しい形の介護に挑戦したい人へ